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懐古主義とリバイバル

2015/10/4


最近、よく話題になる事があります。
それは昨今、話題になっているリバイバルについて。
あるメーカーさんとの打ち合わせで50’Sのイラストを使用したアイテムについて話しているとき、
自分達が作るとコテコテの50’Sになってしまうので、
今の感覚がわかる若い人に任せたと言うお話を聞いた時に
これはこれで、アリだなと。
その当時を知っている人が今を分かる人にデザインを任せる。
良い意味で役割分担が出来ているような気がします。
後日、違う場所でデニムを作るとリーバイスはこういうオンスじゃないとか加工じゃないとなり、
結局、その当時のレプリカになってしまうというお話。
はたまた、90’Sに流行ったコーディネートをそのまま提案していたり。
70’Sや90’Sを知らないで今の流行として上澄みをすくうように
誰かが着ていて流行っているからと済ましてしまう若者達も何か違うような気がする。
90’Sや最近では70’Sのリバイバルと言われていますが、
懐古主義になっては時代に取り残されている様で、どこか間が抜けている。
けれど、何も知らないでいるのも踊らされているだけで、薄っぺらく見えてしまう。
天の邪鬼な自分はどちらの話も何か違う気がしてしまう。
だったら、リバイバルとはどういう事なのだろうと考えてしまいます。
そんな事を思いながら、最近の展示会で10代に流行、良く着ていたアイテムが並んでいました。
自分も年を取ったのかそんなアイテムが出てきたことに驚きと興奮を覚えて
新鮮に見えてオーダーしたのですが、
果たして、今を切り取るアイテムとして提案出来るまで考えていたのかは定かではない。
ただの懐古主義だったらまずいなと今更ながら反省しています。
ここで、思い出したのが、ある最も好きな服屋の一人の方の雑誌でのインタビュー記事。
誰もしていなくて、面白いと感じた事をやっていく。
例えば、インポートショップがドメスティックブランドを軽視していた時代に
ドメスティックブランドを面白いと受け入れていた。
革靴しか履かなかった時代にリーボックなどのスポーツブランドをファッションとして
服屋で取り扱ったという伝説的な逸話。
もちろん、その方はアメリカやインポートが好きで自分は
足下にも及ばないくらいに詳しい事は言うまでもない。
そんな人がそれでも新しく起こっている事に面白みを感じて
今までの経験を活かして、新しい事を起こす。
これが、自分が思うリバイバルだと。
簡単なようで、すごく難しいと改めて考えています。
自分も服屋として知識というバックボーンで良い物を見極める目と
今を切り取れる新しい事へのチャレンジをしていける感覚の2つを持ち合わせられるようになりたいものです。
例えば、この映画のこのシーンのように。
新人監督がビル・マーレイにボブディランの「嵐からの隠れ場所」を歌わす。
何か、良い物を見極めて新しく昇華しているように思います。

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